はじめに
私はマニュアル業界に関わっていた18年、ほぼずっととある住宅設備メーカー様のお仕事をしておりました。そこでは主にお風呂、いわゆるシステムバスルームと呼ばれるものですね、のマニュアル作りに関わっていました。
取扱説明書はもちろんのこと、お風呂を家に取り付けする業者さん向けのマニュアルを作っておりました。
ここで豆知識!
お風呂を設置するのは大工さんではなく、住宅設備メーカーさんなどと提携している設置業者さんなのです。
以前はお風呂を設置することを「施工」と読んでいましたが、業界的に呼び方を変えて「取付設置」と呼ぶようになりました。よって、それらの業者さん向けマニュアルは、以前は「施工説明書」と呼ばれていましたが、今は「取付設置説明書」と呼ばれることが多いです。
私はメーカーさんの開発現場、設計現場にも入り、実際の商品を見させていただきながら、家への取り付け方法をお聞きし、取材し、マニュアルを作っていました。
住宅設備、とくにお風呂については、業界的に3月ー5月くらいに新商品を発売されることが多く、マニュアルについては、前年の11月くらいからスタートし、1月・2月が仕事の佳境を迎える、というパターンが多かったことを記憶しています。
というわけで、長くこの業界に携わっていたこともあり、お風呂のマニュアルについては、思うところも多いです。
お風呂のマニュアルで一番良いと思うメーカーさん
お風呂のマニュアルで一番良い作りかたをしているな、と思うメーカーさんですが、
やはり、リーディングカンパニーである、LIXILさんでしょうか。

上記からWEBマニュアルとして、このお風呂のトリセツを読むことができますが、下記のような構成で、自分が今調べたい場所までスムーズにたどり着くことができます。

これはWEBマニュアルの利点ですね。この流れを紙での取説においてもある程度踏襲されていますので、使いやすいとは思います。
そもそもお風呂の取説って、基本読みません。
読む時というのは、お手入れの時か、トラブルの時ですよね。
お手入れのときであれば、お風呂の浴槽のサイドの部分(エプロンなどとも呼ばれます)を外して、中を掃除したいけど、外し方がわからない。
トラブルのときは、排水しない、どうすればいいだろう、とか、ですよね。
こんなとき、目的だったり、場所から、探せるのであれば、わかりやすいですよね。
ただ、後で少し触れますが、実際のところは、ネットで検索して出てきたSNSの投稿を見たり、ユーチューバーの動画を見たり、で対処しますよね。あとは、AIに質問して教えてもらうとか。
メーカーサイドからすれば、「正しい情報はメーカーの正式情報を見て欲しい」となるのですが、メーカーの情報、つまりは取説だと、可もなく不可もなくというか、わかりきった、ある意味正しい情報しか記載されていない(正確にいえば、メーカーとしてそれしかできない)から、ユーザーが求めている情報とは離れてしまっている気がします。
なので、現時点でいえば、LIXILさんのようなスタイルがいいとは思いますが、業界全体として、マニュアルについては時代遅れであり、どのメーカーも思い切ったことができていないというのが現実です。
お風呂のトリセツはエッセイ的に面白いものにすべきだと思う
上記で書いた内容から私が思うのは、今後、お風呂のトリセツが生き残るため、つまりはメーカーとして「作らなければいけないから作るもの」ではなく、「ユーザーが読んで使っていただけるもの」にするためには、今の作り方ではダメだということです。
理由は
- 使い方だけであればAIへの質問で事足りる
- お手入れ方法を知りたいのであればインフルエンサーのSNSの方が役立つ
からです。
ただ、メーカーは、その商品を開発した人たちの集まりなのです。
企画、デザイン、設計、営業、設置業者、それぞれの熱い思いがあるはずなんです。
それらをもっとマニュアルに盛り込んでほしいのです。
つまりは、開発した側だからこそわかる、お手入れのコツだったり、使い方のコツを、「人が見える形」で紹介する形、たとえば顔見せでのインタビュー、設計者が出演してお手入れ方法を紹介する動画を、WEBマニュアルに盛り込む。
顔見せに問題があれば、AIを使って簡単なアニメにしたりもよいでしょう。
または、エッセイ風に、季節ごとのお手入れ方法をブログ化して、それもWEBマニュアルに盛り込む。
このくらいやって、メーカー自体がインフルエンサーの役割を果たすとよいのではないでしょうか。
そのうち、情報収集はAIの活用で十分になります。メーカーのWEBサイトに自ら訪れる人は減るでしょうし、読みづらい紙の取説は読まれません。
WEBサイトについては、読んで楽しいもの=エンタメに振っていく
紙マニュアルについては、漫画、もしくは画集のように、読む→見るものにシフトしていく
お風呂のマニュアルについては、このくらいのシフトチェンジが必要なのではないか、と思います。
お風呂のマニュアル作りに関わる人全てを応援しています
好き勝手なことを書いてきましたが、この業界、厳しくなってきていることはよくわかっています。
そもそも住宅着工数が増えないため、お風呂の出荷台数も増えません。
一時期、リフォーム向けに力を入れていくメーカーも出てきましたが、そこにも限界があります。
海外向けを、とも考えられていますが、お風呂の習慣が日本と海外では異なるため、日本のお風呂をそのまま海外に持っていってもなかなか通用しません。
ただそれでも、お風呂は私たちの生活を支える大切な空間です。
そのお風呂について、なんとかみなさんが使いやすい情報を提供したいと考えるお風呂のマニュアル作りに関わる全ての人を応援しています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

