はじめに
私は18年ほどマニュアル制作会社(印刷会社でもある)で営業担当をしていました。マニュアル制作のディレクションを兼ねていて、数々のテクニカルライターと仕事をしてきました。
自分でもライティングを行う機会もありましたし、クライアントからの評価を受ける立場でもあったので、「どのような文章が顧客に受け入れられるのか」は熟知しています。
現在、私は他の企業で主にWEBライティングを中心に仕事をしています。ディレクション、ライティング、デザイン、全て一人で行っているのですが、感じることは「テクニカルライティングより自由である」ということです。
ここで思うことがあります。ライターには個性があります。その個性が仕事を引き寄せる武器にもなります。しかし、テクニカルライティングにおいては、どうなのでしょうか。書き手であるライターの個性はどのように扱われているのでしょうか。個性は必要なのでしょうか?
今回は、テクニカルライティングにおけるライターの個性について考えてみます。
WEBライティングにおける個性とは?
まずはWEBライティングにおける個性について考えてみます。
WEBライティングにも種類がありますよね。
・個人ブログ
・SNS
・エンタメ系サイトでの記事
・ニュース系サイトでの記事
・WEBサイト(企業)などに掲載する文章
・(上記に関連する)オウンドメディア
・ホワイトペーパー
・広報
・IRなど
最初の方に挙げたジャンルにおいては、ライティング上の自由が大きいですよね。下にいけばいくほど、自由度はなくなり、IRなどにおいては、書き方も決まってくる、という形だと思います。
と考えると、WEBライティングだから自由、個性を出しやすい、というわけではないといえそうです。
エンタメ系のサイトは私もよく読みますし、好きなライターさんも多いです。そのライターさんの記事を読みたくて、それらのサイトを訪れる、または読んでみたら、「あ、このライターさんだったんだ、どうりで面白い」と感じたりします。
ライターさんの個性、それは文章というよりは、その人の生き方であったり、その人が選ぶ題材で感じることが多いです。もしくは専門性、でしょうか。このあたりは動画配信者にも言えるのかもしれません。「このジャンルに詳しい●●さんが発信する情報であれば、読んでみたい、みてみたい」というような。
noteでも同様のことが起こっています。私もnoteをやっていますし、多くの方のnoteをフォローしています。フォローする理由は、書き手の方が発信する何かしらに興味を持っているからです。
このように、書き手、発信者の個性に惹かれる、それがそのコンテンツに触れる理由となる、このようなことが「発信の自由度が高いWEBコンテンツ」においては、発生しています。
テクニカルライティングにおける個性とは?
テクニカルライティングはどうでしょうか?
まず、そのようなことはおこりません。なぜなら、マニュアルにおいて、書き手や作り手の名前が残されることはないからです。
取説などの最後のページに掲載されるのは、会社名であり、サポート窓口などです。そこに制作者たちの名前は掲載されません。雑誌には編集人が掲載され、書籍には著者が掲載されるのに、マニュアルには掲載されないのです。
これが「テクニカルライティングには個性は必要ない」と言っている理由でもある。
このように結論づけたいところですが、決してそうではありません。
まず、取説などには、個人の思想や主張は必要ありません。あくまで、使用者が正しく、安全に使ってもらうための情報を伝えるために、存在しています。Aさんが書くことで、またはBさんが書くことで、その内容が変わってしまうことはあってはなりません。
ですので、書き手の名前を取説に残す必要はないのです。
ですので、取説というものそのものに、著作権が発生するかというと、そうではない場合がほとんどになります。取説内で掲載されたイラストなどに、特別な創作性があれば著作物となる場合はあるという判例はでていますが、取説自体が著作物である、とは、正直なかなか認められていないというのが現実ではないでしょうか。
このように考えると、テクニカルライティングの世界において、個人が表現する「個性」というものは、発生させることが難しいとも言えるのではないでしょうか。
実は個人的にいうと結論は出ていません
「テクニカルライターに個性は必要なのか」という問いに対して、実は答えが出ていません。
個性は必要である、そのように言い切りたいのが正直なところです。
なぜなら、そうでないと「面白くない」からです。
誰もが同じように作ることができる、そのような仕事だと、この業界には先がないと思います。
すぐにAIに仕事を取られてしまいます。
一つだけ思っていることはあります。それは「取材力という個性を発揮できないか、ということです。
テクニカルライティングは、実は書くことだけが仕事ではありません。むしろ、書くこと以外の方が仕事だともいえます。その仕事・・・、それは、クライアントの話を聞き、クライアントがまだ気づいていない、本当に大切なことを導き出すこと、です。
ここには個性を発揮できるのではと思います。ライターが今までの人生で培ってきたこと、感じ続けてきたこと、それらがクライアントへのヒアリングにいきてきます。
ここが、テクニカルライターの生き残る道なのではないか、そのように感じています。
今日は、考えがまとまらず書き始めた記事のため、つたない文章になりました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

